聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 アルウィードはもう来ない。自分を見放したのだろうか。

 聖母としての利用価値がなくなったから来なくなったのだろうか。

 聖母ではないとわかったのだろうか。

 殺人事件の犯人として捕まるのだろうか。

 捕まったらどんな刑罰を受けるのだろうか。

 いっそその方が、気持ちが楽になるのかもしれない。


 溌剌(はつらつ)とした少女――ファリエルタの顔が思い出される。

 彼女はきっとアルウィードに恋をしていたのだろう。彼と結婚したくて、三千花を元の世界に返そうとしていたのだ。

 なのに、殺されてしまった。
 彼女も神官も、命をとられなければならないほどの悪事など働いていないはずだ。

 犯人は自分を狙っていたようだった。
 聖母を邪魔に思うなら、自分だけを殺せばよかったのに。

 なぜ自分は生きているのか。

 死んで償うなんていう勇気もなく、三千花は毎日、生き残った自分を責め続ける。

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