聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 彼はすっと右手を上げた。
 すると雲が急に()いて、太陽を隠した。

「ほら、恥ずかしがって隠れてしまった」
「え、これも魔法なの?」
 晴湖が驚く。

「そうですよ。まあ、私くらいしかできませんが」
「すごーい!」
 晴湖は両手を叩いてはしゃぐ。
 三千花は晴湖の今まで見たことない姿に驚いた。普段はもっと落ち着いた様子なのに。

 ふと見ると、いつの間にかエルンレッドとリーンウィックはいなくなっていた。

「たいていのことはできますよ。アルウィード以上に」
 レオルークが三千花を見た。三千花はなんだかいたたまれない気持ちになった。

「万能でいらっしゃるのね。素晴らしいわ」
「あなた方を喜ばせるためならなんでもいたしましょう」
 レオルークが手をふると、バラが摘まれて花束となり、晴湖と三千花の前にふわりと浮いた。

「麗しいあなた方の前ではバラすらも(とげ)をなくす」
「まあ。棘も魔法で取ってあるのね」

 そう言って受け取る晴湖。三千花も受け取った。見てみると、確かに棘はなかった。

「アルウィードは最近来てるのかな?」
 レオルークが三千花に(たず)ねる。
「会ってません」
 彼女は目をそらして答えた。

「飽きちゃったのかなあ。もう、別のおもちゃをみつけてるとか」
 三千花は一瞬、体を震わせた。

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