聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「いくつか使えます。治癒魔法だけならアル兄様より使えます。怪我も病気もある程度は治せますよ。致死の重症や重病は無理です。心の傷は治せませんし、魔力の使いすぎも治せません」
 少し悲しげにエルンレッドは目を伏せた。

「自分の怪我も治せるの?」
「基本的にはできます」
「誰でも使えるのかしら?」
「人によります。できない人はまったくできません」

「家族でも使える魔法がぜんぜん違うのね」
 晴湖が言う。
 三千花は初めてそれを知った。

「遺伝は関係ないんです。魔力の量も違ってて。レオ兄様とアル兄様だけすごく能力が高いです。でもアル兄様は変身はできないんです。治癒も少しだけで」

「万能とはいかないのね」
「魔法は個人差が大きいんです」
 言ってから、エルンレッドはためらいがちに続ける。

「レオ兄様は……ちょっと変わってて。だからあんまり近づかないほうがいいです」
 三千花は先程のレオルークを思い出す。なぜだか不気味に感じた。

「レオ兄様、いつも面白いことないかなーって言ってて。身内以外に手を出すとお父様に怒られるから、ずっとアル兄様とリーンをからかってきて。特にアル兄様がお気に入りみたい。僕はすぐ泣くから面白くないみたいです」

「さっき、興味深いって言われたわ。大丈夫かしら」
「それは……なんとも。でも気をつけて、一時期は女性を壊してまわっていたらしいですから」

「壊す?」
 晴湖がきき直す。

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