聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「一緒に寝た仲なんだし、いいでしょ」
「けっこうやるのね」
 晴湖が驚いて三千花を見る。

「ち、違います、誤解です!」
「僕の全身を撫でまわして「かわいい」ってため息ついて」

「猫の姿だったから! 人間が変身したって知らなかったから!」
「そういうことにしてあげてもいいけど」
「本当なんだってば!」
 思う存分からかわれてるなあ、と晴湖は苦笑した。少しは元気になったようで良かった、とも思う。

「ほらお茶が冷めるわよ。リーンウィック様も、もっとお菓子をどうぞ」
 勧められて、リーンウィックはマドレーヌを摘(つ)まんだ。三千花は自分を落ち着かせるように紅茶を一口飲む。

「そういえば、黒猫以外には変身しないの? 白猫とか」
 ふと疑問に思って、三千花は聞いてみた。

「動物になったときの体毛は髪の色に左右されるらしくて、犬でも猫でも鳥でも、黒になる」
 リーンウィックが答えた。

「じゃあ、ユレンディールさんが鳥になったら金の鳥なのね」
 うっとりするように、晴湖は言った。
「でもユレンは……ユレンディールは変身魔法は使えないんです」
 エルンレッドが答える。

「へえ、ほかの人にできないことができるってすごいじゃない!」
 晴湖がリーンウィックを褒(ほ)める。
「それはあなた方の価値観でしょう。この世界では動物に変身するのは低く見られてるんです」
「余計なこと言うな!」
 エルンレッドをリーンウィックが遮(さえぎ)った。

「ごめん」
 エルンレッドは素直に謝る。

「力があるのを認めさせればいいんだよね? 例えば犬に変身してボスになって犬を全部従えたらすごくない?」
「それって犬とケンカしろってことだよね。なんでそんなことしなくちゃいけないんだよ」
 三千花のアイディアに、リーンウィックは不満を返す。

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