聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「でも僕は争いは嫌いです。だから神官になりたいんです。目指すには年齢が高いんですけど」
「合ってると思うわ。あなたは優しいから」
 三千花が言うと、エルンレッドは少しうれしそうに笑った。
 だがすぐに憂い顔に戻る。

「リーンが魔力にこだわるのも仕方ないんです」
 三千花は黙って話の続きを待つ。

「王族の魔力は婚姻による外交にも影響します。魔力に遺伝は関係ないと言う説が有力だけど、やっぱり魔力の強い人の方が縁談が多いし、強い人が多い国は戦争も強いと思われるし」
 魔法が外交に影響があるなんて、三千花は考えたこともなかった。言われてみれば確かに、と思うのだが。

「アル兄様は第二王子で魔力も強いから、外国からの申込みもあったんです。婿に行く前提で」
 アルウィードの縁談と聞いて、三千花の胸に鋭い痛みが走る。

「でも、アル兄様は拒否したし、国としても魔力の強い兄様を外に出すのを嫌がって、話はなくなったんです」
「そうなの……」

「あ、ごめんなさい。無神経でしたね」
 三千花の暗い顔に気づいたエルンレッドが謝る。兄の婚約者になる女性にする話ではなかったと、彼は反省した。

「大丈夫」
 三千花は懸命に笑顔を作った。

「外国なら一種類しかできないとか馬鹿にする人も少ないみたいで、だから婿に出す結婚をリーンにだけ検討していて。でもそれで疎外感を感じていて」
「それは本人は辛いね」

「父様と母様は子どもたちみんなを愛してくれているんですけど……」
 エルンレッドは悲しげに目を伏せた。
 三千花はうまく言葉を繋げられず、黙った。

< 168 / 317 >

この作品をシェア

pagetop