聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「どうやって?」
「私、すごいブスだったの」
 言われて、リーンウィックは首をかしげる。

「私の場合だけどね。整形して……医療技術で顔を変えて、美人になったの。ついでにダイエットもがんばって、ナイスバディを手に入れたのよ。お胸にもちょっと細工してあるけど、内緒よ」
 晴湖はイタズラっぽい目でリーンウィックを見る。彼はよくわかっていないようだった。

「この髪もかなりお手入れしてるのよ。キレイでしょ」
 晴湖は自身の茶金の髪を撫でる。

「整形もタダじゃないから、がんばってお金を稼いだの。つまり、今の私があるのは努力の結晶なの。だから自信を持って私は私を誇れるわ」
「すごいね」
 リーンウィックは憮然(ぶぜん)と答える。彼の期待した答えとは違っていた。

「あなたはせっかく変身の才能があるのに、もったいないわ。変身ってほかの人の姿になったりできるの?」
「動物しか無理だった。外で動物になるのは法律で禁止されてる。だから城の中でたまに遊ぶくらいしたかできない。(のぞ)き見したりいたずらしたり」

「覗きもいたずらも良くないわね」
「じゃあどうしろって言うんだよ。ほかに何もできないのに」

「できないって決めつけてるからダメなんじゃない? 私も最初は何もできないって思ってたわ。美人だったら何でもできるのにって。自分は美人になんてなれないとも思ってた。だけどこうして美を手に入れたの」
 なんの慰めにも励ましにもならないことを言われてリーンウィックはイラつく。

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