聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
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憂鬱な会議に参加したエルンレッドは呆然とした。
リーンウィックがやたらめったら怪我をするようになったと思ったら、今度はユレンディールだ。
きれいな顔の左頬が紫色に腫れ上がっていた。
慌てて治そうとしたら拒否された。
その上、アルウィードとユレンディールは目を合わせようとしない。
もともと仲はよかったのに、どういうことだろう。
聖母が来てからだ。
エルンレッドの胸が痛む。
聖母が来てからおかしくなった。
あの人がいなければよかったのに。
エルンレッドは悲しい気持ちで三千花を恨む。
彼の心模様など関係なく、会議は始められた。
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リグロットが三千花の元を訪れたのは、翌日のことだった。
彼はシェリナから博物館への誘いが来ている、と言った。
「先日は申し訳なかった、仲直りの機会がほしいと言っているそうですよ」
彼の言葉は三千花の予想外だった。では、あの剣幕で怒っていたのは、異世界に来て混乱していたゆえなのだろうか。
「神殿から聖母同士仲良くするようにと言われていますが、嫌なら断っていいのですよ」
めんどくさそうに、むしろ断ってほしそうに、リグロットは言った。
「――行く」
三千花の答えに彼は眉を上げた。何かを言いかけて、口を閉じる。
「脱走はしないから」
三千花は自分からそう言った。
「――では、手配いたします」
リグロットは軽くお辞儀をして、三千花の部屋を退出した。