聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
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聖母候補2名が襲撃されたという報告は、すぐさま国王ジャンレットに知らされた。
護衛が殺され、襲撃者も何人かが死体となって転がっていた。
唯一の生存者であり重傷を負ったリグロットには、エルンレッドに治療に当たらせるように手配した。既に治癒魔法師が治療に当たっているとは聞いているが、エルンレッドの方が能力が高い。
聖母候補2人は行方不明。誘拐されたと見られる、とのことだった。
彼は内密に探るように言い、王子たち、とくに第二王子には知らせないように通達した。
どのみちすぐに知れ渡る。それでも今はアルウィードには聞かせたくなかった。
最近のアルウィードは調査のために魔法を使いすぎて、疲労困憊の様子だ。聖母が攫われたと知ったらどうなるか。これ以上の負担はさせたくなかった。
聖母のことでユレンディールともめた、とも聞いた。
聖母は変革をもたらすという。
それを好意的に受け取る者もいれば、否定的に受け取る者もいる。
世界を壊す使いだという狂信者もいる。
世界を救うと盲信している者もいる。
その聖母を連れてきた、というアルウィード。
いまだ星は流れていない。聖母の証とされる流星が。
なぜアルウィードは彼女が聖母だと確信しているのか。
なぜ彼女のためにそこまで動くのか。
勝手に外部の令嬢――ファリエルタ・リン・キャライルと会わせたりなどして外堀を埋めようと画策もしていた。アルウィードらしからぬ小細工だった。
一つの可能性を考えてはいるが、それを本人に確認するのはためらわれた。その可能性はライアルードも密かに指摘していた。ある一点から考えると、「聖母」の存在は都合が良すぎるのだ。
もし彼の仮定が真実ならば、これは大問題だ。
聖母とはまったく厄介な。
国王は憂鬱に頬杖をついた。