聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「どういうこと!?」
「私にはユレンディール様がついているの。あんたの王子様は失脚して、ユレンディール様が王になって、私は王妃よ」

 意味がわからなかった。
「普通に考えて、ユレンディールさんの継承順位はだいぶ下だと思うけど」
 そのまま、思ったことを口に出していた。

 シェリナの目が釣り上がる。
「嘘よ! また嘘をついて、私を(おとしめ)めようとして!」
「ユレンディールさんは国王の甥だから」

 シェリナが何をどう勘違いしたのかわからない。誰かがそういう嘘を彼女にふきこんだのか。
 これ自体を仕組んだのが彼なのか。だからシェリナは余裕なのか。

 ソファに押し倒したときの彼を思い出し、ぞっとする。
 彼の本心がどこにあるのか、三千花にはわからない。会ったばかりなのに愛を語る彼を信じられない。

 シェリナはぎゃんぎゃんと何かを言い続けているが、三千花の耳には入らない。

 とにかく逃げなければ。
 すぐには殺さない、と彼らは言っていた。第二王子が来るまでは、と。
 ならば自分は囮だ。

 だが、アルウィードは来るのだろうか。

 この指輪で位置がわかるというが、前回はそれがわかるまでに相当の魔力を消費したらしい。

 ああ、と三千花は歯噛(はが)みする。
 さきほど、リグロットが危ないと思って魔法を使ってしまった。
 それすらもアルウィードの負担になっていたとしたら。

 結局リグロットを助けることはできず、おめおめと捕まってしまった。ならば魔法を使わないでいたほうが、アルウィードにとっては良かったのではないだろうか。

 暗殺者にくれてやる命はない、と彼は言っていた。
 ならば助けに来ないかもしれない。
 彼は国を背負っている。
 彼女よりも、何万もいる国民のほうが大切に違いない。

 来てくれると信じて待つのか、自力で脱出するのか。
 今ここで魔法を使っても大丈夫なのか。シェリナが魔法を使えないと言った意味は。

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