聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「恥ずかしがらなくても」
 少年が手を伸ばして彼女の頬に触れる。
「もう全部見たあとだから」

 う、嘘だ。
 彼女はベッドからあとずさる。
 そして、落ちた。

「痛っ!」
「大丈夫? ドジだなあ」
 クスクスと少年は笑った。

「昨日は激しかったなあ。あなたはすごい積極的で。もっと僕がほしい?」
 三千花はぶんぶん首を振った。
 そんなはずがない。ありえない。

 コンコン、とノックがされて、返事を待たずに赤茶の髪の女性が入ってきた。

「お目覚めでございますか?」
「あ、あの、これは――」
 思わず弁解しようとしてしまう。

「リーンウィック殿下、こちらにいらしたのですか」
 驚いたように女性が言った。と同時に三千花に軽蔑したように鳶色(とびいろ)の目を向ける。

「かまいやしないよ。聖母様に会えるんならさ」
 聖母。昨日も言われた。どういうことなのか。

< 20 / 317 >

この作品をシェア

pagetop