聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「こちらは刑事さんだから大丈夫」
 三千花の言葉に、エルンレッドはユレンディールと顔を見合わせた。刑事という単語は彼らには聞き慣れないものだ。

「簡単に言うと、正義の味方。刑事さん、こちらの二人は――」
 三千花はためらうように優梨を見て、言葉を続ける。
「外国から来た貴族の方です」
 蓮月は眉を上げた。なかなかうまい誤魔化し方に思えた。

「この少年の兄で私の友人が大怪我をして行方不明なんです。だから昨日伺ったんです」
 優梨に対して三千花が説明した。

「大変じゃない、どうして言わなかったの!」
 優梨が蓮月を責める。

「外国で行方不明なんです」
 三千花は付け加えた。

「君が監禁されていた場所はアルが見つけた。知らせを受けた兵士が行くと、犯人らしき死体があって、アルも君もいなかった」
 ユレンディールが説明する。

「監禁! 死体!?」
 優梨は蓮月を見る。蓮月は何も言わない。

「おそらくは連れ去られました。ということは、まだ生きている可能性が高いです」
 エルンレッドが続けた。

 それを聞いて、三千花は崩れるように座り込んだ。
「大丈夫か」
「はい」
 泣き笑いのような表情で三千花は蓮月に答えた。
 生きている。
 ただそれだけで、どれだけ心強くあれることか。

「君がここにいるのは、レオルーク殿下が突き止めた」
 ユレンディールが言う。
 あの第一王子が、と三千花は驚く。

「さすがのレオ兄様もアル兄様のことが心配みたいです。今もあちらで探してくれています」

 なんだか胸がざわざわした。違和感があるが、それは彼女の中でうまく形にならない。

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