聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「私たちは君を迎えに来た。アルウィードの居場所を知るには君の指輪が必要だ」
「指輪が?」
 三千花は立ち上がって服を軽く払った。

 そのまま指輪をはずそうとする。が、やはりはずれない。
「ごめん、はずれない」

「想定済だ。そのために私たちが来た。君をあちらに送る。この神官が儀式をおこなう」
 ユレンディールが説明し、長い白い服を着た男性が軽く頭を下げた。

「意味がわからない」
 優梨がつぶやく。

「説明して、蓮月」
「待てって」
 蓮月は様子を見守る。

 三千花はじっとユレンディールを見た。もともと人を見る目があるとは思えない自分だが、さらにあんなことがあったあとでは彼を信じていいのか迷う。

「今は信じて。私だってアルウィードを大切に思っている」
 三千花はエルンレッドを見た。彼は無言でうなずく。

 もう一人の神官らしき人を見た。彼は困ったような表情でこちらを見た。
「三人の力でようやく君一人を送れるくらいだ。もう準備はほぼ終わっている」
 ユレンディールが道路を指差す。魔法陣がそこには描かれていた。

「私だけ?」
 以前、送ることはできてもこちらからは自力では帰れないと聞いた。
 ならば残った彼らはどうするのか。

「全部無事に終わったら、迎えが来るから」
 それは本当なのだろうか。
 だが、王族である彼らを無駄にこちらに送ることはないはずだ。

 しばらく無言で彼らの顔を見て、それから三千花はうなずいた。
「わかった。私も準備する。少し待って」

「何? 何が起きるの? これはヘリポートの一種なの? この狭さは無理よね? ドローン?」
 優梨は混乱している。

 そのとき、優梨の電話が鳴った。
「ちょっと出てくる」
 救われたような面持ちで、優梨は電話に出て少し場所を離れた。

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