聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
三千花は家に飛び込むと、もらったたい焼きをキッチンに置いてバタバタと階段を駆け上がる。
「三千花? 何してるの?」
「今急ぐから!」
母の声にそれだけ答えて、部屋に飛び込み、リュックを取り出した。
どうしよう、何がいる? 武器になるもの。
三千花は焦りながら周りを見回す。
そうだ、スマホ! とカバンから取り出し、検索する。
検索結果を見て三千花は口を開けて固まった。
スタンガン、催涙スプレー、特殊警棒。
「そんなものうちにあるかー!」
包丁、と思いつく。がそんなもの向こうにもあるし、リーチが短いから剣には勝てない。
シャーペンもボールペンも刺せば武器になる? と思って思い直す。そんな勇気はないし、包丁より短い。もっと安全で攻撃できるもの。身を守れるもの。
魔法の攻撃は、三千花が見た限り飛び道具のようなもの。
これなら、というものは思いつかないまま、カッターと折りたたみ鏡をリュックに入れ、さらに靴下の中にビー玉を詰めて突っ込む。
部屋からリュックをもって出てキッチンに戻り、フライパン、ライターとスプレーを入れる。砂糖と特大サイズの塩胡椒ボトルにマスク。タオルにゼリー飲料。
「さっきから何してるの」
母が心配そうにきいてくる。
「このたい焼きもらったから食べといて。あと、玄関先に王子様いるから、しばらくうちに置いてあげて。費用は私の貯金からで」
「はあ?」
「じゃあ行ってくる!」
「ちょっと!」
母の声に答えず、バタバタと出ていく。
玄関先で、三千花は傘に目を留めて傘をリュックの隙間につきさした。
「お待たせ!」
出てきた三千花を見て、蓮月は目を丸くした。