聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
* * *
車がもはや見慣れた庭園に到着し、三千花は歓喜の声を上げた。
「来たわ! 着いたわ!」
隣の蓮月を見ると、彼は驚いて周りを見ている。
三千花は車を飛び降りた。
警備の兵士がわらわらと集まってくる。ドーベルマンを連れている人もいた。軍用犬だ。
見知った人がいないか、三千花は見回す。見当たらない。
三千花の護衛は特定の兵士が担当していて、庭の警備は別の担当だ。
兵たちは警戒して彼女を取り囲む。
三千花は焦れた。
なんで自分が来ることが伝わっていないのか。
「リグロットさんを呼んでください」
言った直後、三千花は彼が重症を負ったことを思い出した。
あのケガでは命もあぶないかもしれない。
アルウィードのことばかりを考えてリグロットのことを失念していた自分を恥じた。
だが、今は自責よりも優先しなくてはならないことがある。
こうなったら、と思って叫ぶ。
「私は聖母です。王子を助けにきました」
兵士がざわついた。
青い空を背に、彼らの見慣れない女性は、胸を張って立っていた。