聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 聖母が来た。
 その報告に、国王ジャンレットは顔をしかめた。

 ユレンディールたちに三千花を迎えに行かせた。
 神殿に現れるはずだった。

 だが、神殿ではなく庭に出現した。
 そして、候補ではなく聖母を名乗った。

 捜査のための大会議室に彼女を連れてこさせる。
「どういうことだ」
 やって来た三千花をジャンレットは思案顔で見る。

 彼女は聖母ではないだろうと思っていた。
 アルウィードが愛する女性を妻にするために聖母と偽っている可能性を考えていたのだが。

 彼女は今、聖母を名乗り、みすぼらしく奇妙な格好をしていた。男のようにズボンをはき、変なリュックを背負っている。
 ドレスに着替えもせず、カーテシーもせず、国王の前に現れる。

 以前はおどおどとアルウィードの陰にかくれるようにしていたのに、今はキリッとジャンレットを見すえている。

「アルウィードを助けるためには何をしたらいいですか?」
 三千花の問いに、彼はうなずいた。
 とにかく、今は彼女の協力を得るしかない。

「まずはあなたが拉致されたときの説明を」
「わかりました」
 三千花はジャンレットや警備隊の総隊長ダウナルドのいる場所で、何が起きたのかを説明した。

 以前、シェリナが神殿の後押しがあると言っていたこと。彼女はユレンディールが王になると思っていたこと。ユレンディールと結婚すると思っていたこと。犯人は聖母候補を二人共殺す予定だったこと。自分はアルウィードを呼び出す囮だったこと。目の前でシェリナが殺されたこと。アルウィードが助けに来てくれて、自分だけをあちらに送ったこと。

「アルウィードが目的のように感じました」
 最後にそう言った。
 ダウナルドの質問にも、丁寧に答えた。

「あなたがたが知っていることも教えていただけますか」
 三千花はたずねる。

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