聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「どうせお前の(だま)し討ちだろ」
 王子が少年に言う。
「人聞きが悪いなあ」
「お前は早くここから出ていけ」
「一緒に寝ようと言ったのは彼女だよ」

「そうなのか?」
 王子が険しい目を向けてくる。
「言ってない。猫にしか」
「それだ」
 王子はため息をついた。

「猫を入れるなと言っておいただろう」
 責めるように言われて彼女はむっとした。何がどうなって彼女が悪いことになるのかわからない。

「人のものをとるって、燃えるよね」
 と少年はニヤリと笑った。
 王子はギロッと彼を睨む。

「お前のことは許さない」
「おーこわ! じゃあまたね、聖母様!」
 少年はベッドをおりて、いつの間にか部屋にあった彼の上着を羽織って出ていった。

「とにかく、着替えをさせて。それから食事だ。あとでまたくる」
「かしこまりました」
 エミュリーは粛然(しゅくぜん)とお辞儀をした。
「質問はあとで聞く」
 言いおいて、王子は部屋を出ていった。

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