聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「ライエル・ドラングールです。よろしくお願いします!」
 彼は敬礼した。無駄のないきキリッとした動きだ。
 蓮月が反射的にビシッと敬礼を返す。

「ああ、警察官っぽい」
 ぽろっと三千花がもらす。

「俺のことなんだと思ってるんだ」
「刑事さん」
 三千花はごまかすように笑顔を作った。

「貴殿はあちらでは同じ仕事をしていると聞いています。頼りにしています」
 ライエルは蓮月と握手をした。

 同じ、とライエルは言ったが、彼ら警備隊は正確には軍組織の一部で、城や街の警備に当たる部署に所属しているにすぎない。業務には治安維持や犯罪抑止、事件の解決なども含まれている。

「聖母候補様。国王陛下は父である前に国王なのです。時に冷徹な判断をくださねばなりません。ご理解ください」
 ダウナルドが言った。

「……わかりました」
 納得はしないが、三千花はそう答えた。

「貴殿らの健闘を祈る」
 ダウナルドが敬礼をする。
 ライエルと蓮月が答礼する。
 三千花も真似して敬礼した。
 レオルークはつまらなさそうにそれを見ていた。

「じゃあ、出発!」
 三人を乗せ、三千花は車を出す。

 ライトをつけて走りだした車に、すごい、とライエルは感嘆の声をあげた。
 大きく壮麗な門にたどりつくと、鉄でできた大きな柵状の扉がゆっくりと開かれていく。

「いよいよね」
 三千花は慎重にアクセルを踏み込んだ。

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