聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 ロレッティア・ディアン・リンシュターの屋敷の門にたどり着いたとき、門番二人は奇妙な乗り物に対して警戒心を全開にした。

 現在、この屋敷の主ガイジェルとその妻は、仕事で本邸に戻っている。令嬢だけの屋敷に不審者が来たとなれば、彼らの警戒は当然のことだった。

「何者だ!」
 剣をつきつけ、叫ぶ。

 乗り物から四人の人物が降りてきた。
「警備隊のライエル・ドラングールです。第一王子殿下と聖母候補様をお連れいたしました。開門願います」

「黙れ、そのような知らせは来ていない」
 偽物を警戒して門番は威圧する。王子が先触れもなく来るなんて聞いたことがない。

「そんな口きいていいのかな」
 ライエルの後ろから、レオルークが口をはさむ。

「不敬罪で死刑にしようか?」
 レオルークは懐中時計を取り出し、見せた。そこに刻まれた王家の紋章。

「し、失礼いたしました! すぐに知らせて参ります!」
「いいからすぐ開けて」
「ですが……」
「死刑になりたい?」
 レオルークは優しく微笑んだ。

「いま開けます!」
 門番はすぐに門を開けた。

 四人はまた車に乗り込み、敷地内を進む。
 大きな屋敷の玄関で、また軽い問答があった。

 今度はレオルークを知っている執事が対応したため、誰何(すいか)の問答は早く済んだ。
 だが、執事は彼らを中に入れようとはしなかった。

 こんな時間に、ましてや主人の不在時に約束もない者を入れられない、と執事は頑なに主張した。レオルークが不敬を盾にしても執事は頑固に拒んだ。

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