聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 痛みに耐え、大人しくされるがままになっていた。
 それを終えたとき、彼は言った。

「なんだ、こんなものか」
 実につまらなさそうに、彼は言ったのだ。

 ロレッティアは独りで部屋で泣いた。
 その後、彼は派手に女遊びをして、ロレッティアは醜聞にふりまわされた。

 再び寝室に現れたレオルークは、強引に彼女の体を奪った。
 再び苦痛の時が訪れるのだと身構え、震えた。

 だが、その日のレオルークはロレッティアの体に悦びを与えた。

 レオルークの指が、唇が、その舌先が動くたび、甘い痺れが彼女を襲う。
 もはや自分が獣になったのかもしれない、と思いながらレオルークにしがみつき、狂ったように彼を求めた。

 彼はさんざん焦らしたあとに、彼自身を彼女の中に沈める。
 一つになった悦びも束の間、彼は再び彼女を快楽で翻弄した。彼が動くたびに走る快感に、彼女は呼吸が苦しくなるほど喘いだ。
 彼は何度も何度も彼女を恍惚に導いた。

 やがて彼が果てたとき、彼はニヤリと笑ってつぶやいた。
「こんなものか」
 満足そうだった。

 違う、と彼女は思った。
 まるで完成度に満足した職人のようだ、と彼女は絶望した。

 彼は二度と彼女の寝室を訪れなかった。
 彼女は身悶えた。
 彼が与えた悦びと疼きは彼女を苦しめた。
 屈辱が彼女の身を灼いた。

 振り返らないレオルークを恨み、気づかないアルウィードを恨んだ。
 自分はレオルークに変質させられた、と彼女は思った。

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