聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
逢瀬の邪魔をされて、ロレッティアは舌打ちせんばかりにドアを見た。
兵の一人が応対にでる。
「屋敷にレオルーク殿下と聖母候補が来ています」
兵の報告に、思わずアルウィードを振り返る。彼の顔色が変わった。
ロレッティアはムチをへし折った。燃やしても燃やし尽くせない炎が心に湧く。
「聖母候補の名は?」
「三千花と言うそうです」
「ばかな! あちらにいるはずだ!」
「どうしてそう言い切れるのかしら?」
「俺があちらに送ったんだ」
言ってから、アルウィードは顔をしかめる。これでは情報を与えたことになってしまう。
「だから証拠は消せてないなんておっしゃったのね」
ロレッティアはしばし考える。
そして、にやあっと笑ってアルウィードを見た。
「聖母には身の程をお教えしましょう」
「何をするつもりだ!」
「兵士に彼女を与えます。貴方の目の前で」
反射的にアルウィードはロレッティアにとびかかろうとした。が、縛られているので前のめりに椅子ごと倒れた。
防御姿勢がとれない。顔から床に突っ込む。
が、額はふわりと着地した。ロレッティアが魔法で衝撃を和らげたのだ。
「まあ、そんなに喜んでいただけましたの? でもいけませんわ、美しいお顔に傷を作るようなことをなさっては」
ロレッティアは目尻を下げた。アルウィードは彼女を睨み上げる。
「ふふ、レオルーク殿下の花嫁にさせるのもいいかしら。貴方の大嫌いなあの方にあの女が抱かれるのを想像してみて? あの女は喜ぶかしら、それとも絶望?」
ロレッティアは舌なめずりをしてアルウィードを見つめる。