聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「あの方は女の扱いが上手よ。好きでもない男に悦ばされて、あの女はどうなるかしら? 壊れるかしら?」

「ふざけるな!」

 ロレッティアはアルウィードの肩を踏みつける。顔は踏まない。大好きな顔だから。

「ああ、私より身分が高くなるのはいただけませんわ。やはり兵士に与えることにしましょう」

「やめろ!」

「何人もの男に貫かれて、聖母は淫らな悦楽に目覚めることでしょう。はしたない劣情のままに、何十人、何百人と男を求めて悶え狂うでしょう。それを見ればアルウィード様もお気づきになられますわ。あの女は聖母などではないと。貴方のその瞬間を、わたくしは見届けとうございます」

「やめろと言っている!」

「いつまで王子のつもりでいらっしゃるのかしら、わたくしの愛しい人は」
 ロレッティアはアルウィードの肩を強く踏みにじった。

「すでに貴方はわたくしのもの。おわかりいただかなくては」
 ひざまづき、アルウィードの頬に手を添える。

「わかっていただけた暁には、額の無粋な魔法陣を消しますわ」
 言って、彼女は振り返る。

「すぐに行くと伝えてちょうだい」
 ロレッティアはあの女の間抜けな顔を思い浮かべた。

 彼女が訪問した際、あの女はアルウィードの横に並び、挑発したのだ。おどおどと何も知らないフリをして。

「罰をあたえなくては」
 ロレッティアは微笑を浮かべた。

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