聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 ロレッティアの部屋は全体的に白でまとめられており、家具も白地がベースになっていた。
 天蓋付きの大きなベッドも白い枠に白い美しいレースカーテンがかけられている。
 カーテンとラグだけが赤く、なぜか血を連想して三千花はぞっとした。

 クローゼットを開けたりタンスを開けたりして調べるが、どこにも手がかりになりそうなものはない。

「わかりましたかしら?」
 ロレッティアは胸をそらせ、傲然(ごうぜん)と三千花を見る。
「このことは後日、正式に抗議いたしますわ」

 三千花は唇を噛んだ。
 やはりレオルークに(だま)されたのだろうか。
 途中でいなくなってしまった。
 バレる前に逃げたのか。
 では、車の中で真剣に言っていたあれは嘘なのか。

 三千花はカーテンのかかった窓を開けた。
 この窓が偽物で隣に部屋があればいいと思った。
 だが、夜の暗い庭が広がるばかりで、部屋などなかった。

 三千花は悔しく思いながら閉める。
 が、違和感を覚えてまた窓を開ける。

「外には何もありませんわよ」
 ロレッティアの声には嘲笑が含まれていた。

「高さがない」
 三千花は地面を見つめてつぶやいた。

 ロレッティアの部屋は一階だった。
 友達が一人暮らしの部屋を探していたとき、防犯のために2階以上がいい、と言っていた。

 高さが防犯になるならば、貴族令嬢の部屋が1階にあるのはおかしいのではないか。
 確証はない。貴族の屋敷、ましてや令嬢の部屋などほかに見たことがない。この世界ではみな1階に部屋を持つのかもしれない。魔法があるから、2階でも1階と同じくらいに危険なのかもしれない。

 飛行魔法や転移魔法を使える者は稀だ、と説明された。
 だが、この世界にはほかにも魔法がある。

 
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