聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 猫に変身したリーンウィックは2階の窓にも平気でやってきた。
 なおさら1階などたやすく侵入できてしまうのでは。

 三千花は部屋の中をもう一度見た。
 隠したいものがあるとき、自分ならどうするか。
 近くにおいておきたい。なるべく人を近づけたくない。

 その条件にあてはまるのは、ここではないのか。
 だが、部屋には何もなかった。
 この部屋には。

 そして、ロレッティアが一階に私室を持っている理由は。

 三千花は一つの可能性に思い至り、ラグをひっくり返した。

「何をしますの!」
 ラグの下には何もなかった。 
 三千花は這いつくばってベッドの下を見る。
 隙間が狭すぎてよく見えない。

 ベッドの足を見る。
 絨毯にへこみがあった。まるで少しずらしたかのように。

「これどかして」
 三千花が言うと、ロレッティアは眉をピクリと動かした。

「魔法でどかせるでしょ?」
 さらに言う。

「ばかなことを言ってないで、早くお帰りになって」
 答える声にはわずかに焦りがあった。
 何かおかしい。

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