聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 三千花はさらに言った。
「このベッドをどかして」
「こんな重いものが動くわけありませんわ」

「それなら」
 三千花はリュックからフライパンを取り出し、ベッドの枠を殴り始めた。ガンガンと大きな音が鳴る。
「な、何を」
 ロレッティアは呆然とした。

「壊すのよ!」
 三千花は叫ぶ。
 ベッドの下に地下室への入口があると信じて。

「何が起きた!?」
 廊下から、案内してきた私兵と蓮月とライエルが飛び込んでくる。
 三千花がベッドの支柱にフライパンを打ちつける姿を見て、三人はあっけにとられた。

「アルウィード! そこにいるの!?」
 三千花は床に向かって叫ぶ。

 刹那、体が吹き飛んだ。壁に叩きつけられ、フライパンを取り落とし、ずるずると沈む。
「殿下の御名(みな)を呼び捨てにするなんて」
 三千花は頭をぶつけていた。痛みでキーンとする。

「大丈夫か」
 蓮月が慌てて三千花を助け起こす。

「ご令嬢、魔法での攻撃は禁止されております」
 ライエルが青ざめた顔でロレッティアに言った。

「見たでしょう? あの女が先に攻撃しましたのよ。正当防衛ですわ」
「ですが、彼女が叩いていたのはベッドの柱です」

「身の危険を感じましたわ」
 ロレッティアが三千花を見る。
 三千花はまた床を凝視していた。
 
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