聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
* * *
アルウィードは倒れたまま放置された。
「くそ」
椅子ごと前に倒れており、身動きがとれない。
「三千花には見られたくない姿だな」
自嘲する。笑おうとして、体の痛みに顔を歪めた。
早く三千花を助けにいかなければ。
アルウィードは魔法を使おうと再度試みるが、やはり、何も発動しない。
『わかっていただけた暁には、額の無粋な魔法陣を消しますわ』
ロレッティアの言葉が蘇る。
封印の魔法陣がそこにあるということではないのか。
「額か……」
入れ墨ならば消せなくなる。張り紙がされている様子はない。ということは、インクか何かで直接額に描いたのか。
アルウィードは首を伸ばして額を床にこすりつけた。
そうしてしばらくして魔法を使おうと試すが、やはり発動しない。
簡単には消えないか、と嘆息する。
だが、彼はあきらめない。
何度もそうしているうちに、天井からどんどんと叩きつけるような音がした。
「アルウィード! そこにいるの!?」
かすかに聞こえたのは三千花の声だ。
喜びと恐怖が同時に湧いた。
三千花が近くにいる。それは単純に嬉しい。だがここはロレッティアの屋敷だ。彼女がどんな目に遭わされるかわからない。
「三千花! 逃げろ!」
アルウィードは叫び、自らの額を床に打ち付けた。