聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜


 * * *


 アルウィードは下にいる。
 三千花は確信した。

「魔法の違法使用の現行犯で逮捕させていただきます」
 ライエルは緊張しながらロレッティアにそう告げた。

「私は一級貴族よ! 将軍の娘よ! 平民のくせに!」
「階級は関係ありません。魔法を封じさせていただきます」
 ライエルが懐から紙をとりだす。

「こいつを不敬で捕まえなさい!」
 ロレッティアが私兵に命じる。

「彼は国王の命令で動いているのよ」
 とっさに三千花は言う。嘘は言っていない。
 私兵はおろおろとうろたえる。

「このベッドを早くどかして!」
 三千花が叫んだとき。

 ベッドが吹き飛んだ。

 三千花たちはとっさに伏せる。
 ベッドは幸いにも彼女らの上に落ちることなく、瓦礫と化して部屋に散乱した。

 埃が部屋中に舞い、三千花たちは咳込む。喉にも目にも入り込んで痛い。
 ライエルが腕を伸ばすと風が発生し、埃を窓の外に運んだ。

 埃が収まってくると、背の高い男性の影が見えた。
 三千花は目を疑った。

 会いたかった。
 離れたのが昨日だとは思えないくらい、ずっと離れていた気がした。

「アルウィード!」
 三千花は立ち上がった。駆け寄ろうとして、瓦礫に足をとられ、転ぶ。

「三千花」
 アルウィードは難なく歩み寄り、彼女を助け起こし、抱きしめた。
 彼の力強い抱擁に、三千花は涙を浮かべる。

 喜びとともに彼を見て、ハッとした。

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