聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 着替えが終わると、居間のテーブルには食事のセッティングが終わっていた。
 大変そう、と用意する人に同情した。

 ほどなくして王子が現れた。シンプルな服装で、凛々(りり)しさが魅惑的だった。
「思った以上に素敵だ」
 王子は彼女を見て微笑とともにそう言った。

 イケメンに褒められて、一瞬ときめいた。
 ダメだ、この人は変質者なのに。
 三千花は自分を戒める。だが心臓の鼓動は早くなる。

「まずは食事にしよう」
 王子は優しく語りかける。

 三千花はとりあえず席につく。
 テーブルの上には厚切りハムやパン、スクランブルエッグ、サラダなどが並んでいた。コーヒーがとてもいい香りを漂わせている。

 おずおずとパンに手を伸ばしかけ、動きが止まる。
 変なもの入ってないだろうか、と警戒してしまう。

「どうした?」
 問われて、返事ができない。
「……変なものは入ってないよ」
 察した王子が言う。

 返事をするように、おなかがグーッとまた鳴る。
 クスッと王子が笑った。
 恥ずかしさでうつむいた。

 だが、そこでふと思う。
 なんで痴漢に対して恥ずかしさを覚えなくてはならないのか。

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