聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 彼が普通に食べ始めたのを見て、彼女も覚悟を決めて食べ始めた。
 逃げるにも体力が必要だ。今は従順なフリをして隙を探すことにした。
「いただきます」
 手を合わせて、食べ始めた。




 

 食事が終わるまで、彼は何も語らなかった。
 彼女もまた無言で食べた。

 なんだかキレイに食べる人だな、と感心してしまった。しなやかな白い指がきれいだ。
 自分はどうだろう、キレイに食べられているだろうか。不安になってしまう。指のキレイさに至っては負けている気がする。

 空いた皿が片付けられ、テーブルで王子と向かいあう。
「何から話そうか」
 王子が言う。

「ここはどこ?」
 三千花が尋ねる。

「アルスタード王国。君の国からは遠く離れたところにある。君の世界で言うところの『異世界』だ」

 何を言ってるんだろうか、と三千花は思う。が、嘘を言っているようにも見えず、背筋がぞわぞわした。
 この王子のかっこう、控える女性の服装、着せられたドレス。広大な庭に、日本ではありえない城。

「君の世界でいう昔のヨーロッパにここは似ているらしい。もちろん世界が違うのだから違う点も多々ある」
 重ねられた言葉に、三千花は顔をひきつらせた。

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