聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「入るな!」
 アルウィードは兵士たちに命じた。
「お前たちの主人は逮捕された。大人しく投降すれば温情のある対応を約束する」

「こちらにおわすのはアルウィード殿下だ。控えよ!」
 続けてライエルが叫んだ。
 兵士たちは顔を見合わせ、入り口に立ちすくむ。

「この者たちをとらえなさい!」
 ロレッティアが入口の兵士たちに叫ぶ。

「どのみち捕まれば反逆罪で死刑よ! 命が惜しければ捕まえなさい!」
 まずい、とアルウィードが思ったときには遅かった。

 兵士たちの緊張と迷いの均衡は破れ、部屋になだれ込む。

「逃げるぞ!」
 アルウィードが叫ぶと、ライエルが外に通じる壁を魔法で壊す。連れだって飛び出す。

「玄関に車があるからっ」
 三千花が言う。
 とはいえ、彼女にはその場所から玄関がわからない。

「こちらです」
 ライエルが先導した。
「図面は叩き込んできました」
 この人優秀、と三千花は感心した。

 外をつっきって玄関に着くと、数人の兵士が不思議そうに車内を(のぞ)き込んでいた。彼らはまだ何が起きたのかわかっていない。

「どいて!」
 三千花が叫ぶと兵士は怪訝(けげん)そうに彼女を見た。

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