聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 すばやく解錠して後部座席にアルウィードを乗せてリュックを渡す。
 ライエルは助手席に、蓮月は後部座席にのりこむ。

 運転席に乗ってエンジンをかけた。さっとシートベルトを締める。
 兵士たちはぽかんとこっちを見ている。

 追手の兵士が近づいてくる。
 三千花はクラクションを鳴らした。
 近くにいた兵士が驚いて飛び退く。

 その瞬間にアクセルを踏み込んだ。
 勢いよく車が飛び出す。

 門が近づいてくる。
 三千花は窓を開けた。
「門を開けなさい!」
 三千花の叫びと車の勢いに驚いた門兵は慌てて門を開ける。この乗り物には第一王子が乗っていた、と記憶していたせいもあった。

 門を突破して、三千花はやっと一息ついた。
 慣れない道で舗装されていない道路なので時速30キロ程度でしか走れないが、彼らは追いつけないだろうと思っていた。

 夜遅いせいか、街を歩く人はいない。
 車を走らせながら、三千花は蓮月に言う。

「ゼリー飲料をアルウィードに渡してくれない?」
蓮月はアルウィードからをリュックを受け取る。ゼリー飲料を取り出して渡す。
「これはなんだ?」
 アルウィードがきいてくるので、蓮月は飲み方を教えた。

「ろくに水分もとれていなかった。ありがとう三千花」
 俺への礼はなしか。確かに俺のじゃないけど。
 蓮月は口をへの字に曲げた。

 ふと、バックミラーになにかが映った。
「まさか」
 三千花の声でライエルが振り返る。

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