聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「行くぞ」
 アルウィードが言い、三人は博物館の奥へと進んだ。

 裏口ってどこだろう、と三千花は思いながらアルウィードに続いた。
「裏口ってどこなんだ?」
 蓮月がたずねる。

「知らん」
 アルウィードはきっぱり答えた。

「まじで!?」
 蓮月が驚愕の声を上げる。

「よくそんな自信満々に歩いたね」
 三千花はあきれた。

「自信のないやつに部下はついてこない」
「部下じゃねーし」
 蓮月は顔をしかめた。

「待って、ここに案内図が」
 三千花が指さすと、アルウィードと蓮月がそれを覗く。

「こっちに非常口がある」
 アルウィードがそう言って歩き出したとき。

「見つけましたわ」
 ロレッティアが現れた。

 金茶の髪は乱れ、白い肌も美しいドレスもいまや全身が埃にまみれて汚れていた。紅い瞳が、暗がりでもわかるほどギラギラと憎悪にたぎっている。

「今度こそもう離れませんわ。ともに参りましょう。邪魔者は消します」
 ロレッティアが手を伸ばすと、炎が走った。

 三人はいっせいにとびすさった。
 三人がさきほどまでいた場所は炎に包まれた。

「わたくしの愛は燃え尽きませんわ。あなたとともに永遠になりましょう」
 ロレッティアは恍惚としてアルウィードを見る。

「なんだあれ」
「炎の攻撃魔法だ」
「やべえな。俺たちが料理されちまうよ」

 まるで火炎放射器だ。
 思った直後、蓮月はポケットのスプレー缶を思い出す。


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