聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「ユレンディールに王冠はよく似合うだろうなあ、とか、歴史に名を残す王になるかもしれません、とかさ。彼が王になるなら王太子を辞してもいい、とかさ」
 レオルークは話し続ける。

「それだけなのに、ユレンディールを本当に王にしようと思ったらしいんだ。なんと私の婚約者殿と結託したり偽聖母候補を呼んだり、一つを動かすといろいろ動くのが面白かったよ!」
 バタフライ効果、と三千花は意味もなくその単語を思い出す。

「なんでアルを陥れるのに聖母を狙うのか、偽聖母を呼ぶのか、私には理解できなかったけどねえ。さっさとアルを殺せばいいだけなのに。アルより聖母のほうが殺しやすいと思ったのかな」
 二人を見比べ、レオルークは言う。

「ああ、アルは婚約者殿が欲しがってたからか。失敬。婚約者殿との逢瀬は楽しめたかな?」
 片頬を動かし、彼は笑った。

「彼らはアルがいなくなりさえすれば生死はどうでもいいだろうしね。頃合いを見計らって婚約者殿ともども殺す予定だったかもしれないし。あとはエルンレッドとリーンウィックに適当なスキャンダルを用意して王位に不適格だと噂を流し、ユレンディールを王位につける。魔力と人気はユレンディールのほうがあるからね。あとは世論を動かせば可能だろう。そんなところかな」
 くすくすと笑って三千花を見る。

「猫になって様子を見に行ったとき、私をリーンウィックと間違えて助けを求めてさ。あのときの君、本当に面白かった!」
 では、監禁されていたときに見た猫は彼だったのだ。三千花の顔から血の気が引いた。あれを面白いというその感性。

「許さない」
 アルウィードは蓮月を振り払い、その手をレオルークに向ける。

 レオルークは指をすっと向けた。
 刹那、アルウィードは何かに押さえつけられたかのように倒れた。

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