聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「魔力が尽きているのに私と戦うの? 隠し玉もないでしょ」
 くすくすと笑った。

「アルウィード」
 三千花が駆け寄る。

 蓮月は二人を背後にかばってレオルークに銃を向けた。
「おとなしく投降しろ」
 撃鉄を起こす。その手が震える。

「へえ、そんな古道具、使えるの?」
 レオルークが目を輝かせた。

「やってみてよ、どうなるのかな?」
 蓮月は引き金をひけない。

 人を撃つなんてこと自体、やりたくない。
 その上これは手入れもされてない。暴発したら自分の命も危ない。

「やっぱり使えないんじゃん」
 レオルークはすねたようにつぶやいたあと、ふと目を輝かせて三千花を見た。

「隠された能力が開花したりしない?」
「ない」
 三千花は短く答えた。そんなもの、予感すらなかった。

「つまらない。じゃあ君たちいらないじゃん」
 レオルークは子供のように口を尖らせた。

「君たちを殺したら、今度はあちらの世界で遊んでみようかな。何回か行ったけど、なかなかユニークな世界みたいだね」
 楽しそうに言うレオルークに、三千花はぞっとした。

「ああ、でも聖母自身に力があるんじゃないんだっけ。子供が世界を制覇? 変革? するんだっけ? 世界を変える力ってのも見てみたいなあ。君らを生き残らせるのもありかな?」
「なんでこんなことするの」

「一番面白いのは人だからね」
 レオルークは小さい子供に説明するように話す。

「結局ね、私は人間が面白いと思ったんだよ。小さい世界の中で、ああでもないこうでもない、と苦しんだり悩んだり、見ていて面白くって!」
「悪趣味……」

「君たちだって面白いこと好きだろう?」
 くすくす笑う。
「人のことをなんだと……」

「人は人間だろう、当たり前のこと聞くなよ」
「人はおもちゃじゃない」

「だから面白いんだよ。わかってないなあ。特に愛ね、愛してると言いながら幸せになったり不幸になったり、むちゃくちゃだよね」
 三千花はもう、うまく反論できない。

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