聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 扉の中は簡易的な倉庫になっているようだった。
 さまざまに雑多な物が置かれている。
 三千花にはそれがなんなのかわからない。書類のようなもの、花瓶のようなもの、古びた直線的なラインの白いドレス、などなど。

 人物を象った大きな彫像もあり、何かの注意書きがあった。
 三千花はこちらの文字を習い始めたばかりで読めなかった。『魔石使用、純度高し、取り扱い注意』と書かれているのが。

「あの人、置いてきちゃった」
 ロレッティアを思い出し、三千花は言った。

「大丈夫だ。あいつの関心は今こっちにあるから」
 アルウィードは小声で答えた。

「あいつは昔から俺にちょっかいを出してきた。魔力で対抗できるのは俺だけだから」
 アルウィードは奥の壁にもたれかかり、座った。

「力で圧倒できる相手はつまらないんだろう。そのおかげで今までは大きな被害は起きていなかった。だが、あいつが王になったらとんでもないことになる。そう思って以前、俺は父である王に、後継者としてユレンディールを推した」
 三千花は彼の隣に座った。

「俺は王の器じゃない。エルンレッドは優しすぎるし、リーウィックはコンプレックスが強すぎて未熟だ。ユレンディールは人当たりもいいし、カリスマもあるし、頭もいい。魔力もある」
「そうなんだ」
 三千花は先を促すように相槌(あいづち)を打った。

 いつレオルークが来るか、じっとしていると怖くて仕方がない。
 蓮月は銃を手に、扉をずっと監視している。

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