聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「簡単に継承権を剥奪(はくだつ)して王位を順位の低い相手に譲ることなどできない。秩序が無茶苦茶になるし、余計な政争を産む。だから父はあいつが自ら放棄するのを待っていた」
 レオルークは王位への執着は見せなかったが、放棄もしなかった。

「あいつが父に……王に力を向けなかったのは王が軍を持っていたからだ。軍が持つ力と自分の力を比べて、さすがに負けると判断した。それだけのことだ」
「実の弟を……なんて、ないよね」

「やるときはむしろ本気で殺しに来るだろうな。どうやって俺がかわすのか、見たがるだろう。あいつはそういうやつだ。今は俺への嫌がらせを楽しんでいる。さっきだってわざと姿をさらして、こちらをいたぶっている」

 アルウィードが言葉を切ると、沈黙が降りた。
 呼吸音が耳につく。

 三千花は落ち着かない気持ちで指輪を見た。
 アルウィードがくれた指輪。

 魔法が使える不思議な指輪。
 ただし、魔力はアルウィードのものを消費してしまう。

「この指輪、あなたと繋がってるんだよね」
 三千花の言葉に、アルウィードは首をかしげる。

「だったら、私の魔力をあなたが使える?」
「何を言ってるんだ」
 アルウィードは愕然と三千花を見る。

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