聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「三千花の魔力を使うから、おそらく三千花は動けなくなる」

 アルウィードの知る限り、他人の魔力を使って魔法を発動した事例は少ない。実験的にやった学者が何人かいたが、魔力を使われた方は一週間、長い者では一ヶ月間にも渡って寝込んだという。それ以来、他者の魔力を使うことは禁止された。

 そもそも他人の魔力を使うのは誰もができることではない。

「貴殿が銃で陽動して、隙を見て俺がこれを貼る。その後、二人でレオルークをとりおさえる。貼るときにも魔力が必要だから、役割を変えることはできない」
「素敵な計画だな」

 行き当たりばったりで穴だらけの計画だ、と蓮月はため息をついた。歩くのもやっとの男と、銃を撃てるかどうかわからない男のずさんな計画。

「だが、これしかない」

 アルウィードは三千花を棚の陰に隠して手を繋ぎ、彼女の体から吸い出すようにして魔法陣に魔力をこめる。
 それを終えると、アルウィードは三千花を見た。
 三千花は彼を見つめ返す。

「終わった?」
「ああ。体調は?」

「平気」
 三千花は平然と答える。

「無理するな」
「してないよ。魔法陣に使う魔力って少ないの?」
 三千花はキョトンとして答える。

「そんなはずは」
 普通は魔力を吸われるのは体力を吸われるようなものだ。影響がないはずがない。

 魔力を込めるのに失敗したのかと魔法陣を見るが、きちんと魔力はこもっている。
 アルウィードはハッとしてまた三千花の手を取る。前にも感じた違和。

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