聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「え、何」
 思わずのけぞるが、その肩を王子ががっちり捕まえる。

「アルウィードだ。思い出さないか?」
 そんなことを言われても、外国にも異世界にも知り合いなどいない。

「それとも、ベッドに連れていけば思い出してくれるのかな」

 どういうこと!? ていうか、そこの人、気を利かせた感じで出ていかないで、助けてえええ!
 出ていく女性に祈りは届かず、部屋にはアルウィードと彼女の二人が残された。

「私は男性とつきあったことないし、あなたなんて知らないから!」
 そう叫ぶと、王子は少し喜ぶような表情になった。
「……本当に? 誰ともつきあったことない?」
 確かめられて、言葉につまる。

 なんてことを言ってしまったんだ、恥ずかしい。彼氏いない歴と年齢が同じ25年だなんて。年齢だけは言わないでおこう、と心に誓う。

「じゃあ、俺が初めてになるんだ?」
 アルウィードはうれしそうだ。

「だから、なんでそうなるの!」
「もう決まってるから。君に拒否権はない」
「横暴な!」

 さすが痴漢、と思っておくべきか。そういえば抱きついてきたおっさんも奇妙なことを言っていた。痴漢の思考は独特すぎてついていけない。

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