聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「というか、君も了承したはずなんだがな」
 そんな記憶はさっぱりない。

「覚えていなくても、君の存在はもうあちこちに知られてしまった。守るためにも、こちらにいてもらわなくてはならない」

「どういうこと」
 言いながらも、昨夜の黒ずくめの男たちが頭に(よみがえ)る。その光る剣も。

「君はどうやって戻るのかもわからないだろう? ここにいてくれ。俺が守るから」
「守るってどうやって」

「俺には魔力がある。権力もある。君を守るためならなんだって使ってやる」
「権力って……本当に王子なの?」
 自分で権力があるなんて言うやつ、初めて見た。

「そうだ。王族の第二子として生まれた俺には権力がある。今までそれを嬉しいと思ったことはない。だが、君といられるなら……」
 そう言って、アルウィードは顔を近づけてくる。
 三千花はサッと顔をそらした。

 セーフ!
 彼女がそう思ったとき。

「いいのか、翻訳(ほんやく)魔法が解けるぞ」
 アルウィードがそう言った。

「は?」
「君がこの国の人と話せるのは俺がキスで翻訳魔法をかけているからだ。話ができなくなるのは困るんじゃないのか? 毎日かけなおさないと、すぐに効力が切れるぞ」
 挑発するように、彼が言う。

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