聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
* * *
「これはこれは、我が婚約者殿」
レオルークは恭しくポウ・アンド・スクレイプでお辞儀をした。
「そこで何をしてらっしゃいますの」
ロレッティアは不機嫌そうに言った。
「ちょっと遊んでいただけですよ」
「その女が気に入ったのでしょうか」
「わりとね」
「では、アルウィード様はわたくしがいただきますわね」
ロレッティアはそう言って歩を進める。倒れたアルウィードの横に両膝をついて半立ちになる。
「アルウィード様、一緒に参りましょう」
ロレッティアが両手で逆手に持った剣をアルウィードにかざした。
レオルークはその剣を魔法ではじきとばした。
「それは無理」
レオルークは答える。
「私の大切な弟だ」
「大切なおもちゃの間違いでは?」
「おもちゃはすぐ壊れるじゃん」
レオルークは大股にアルウィードに近づく。彼の横に座り、ロレッティアに顔を近づける。
「私は彼を愛しているよ」
挑発するようにロレッティアを見つめる。アルウィードはあいかわらずレオルークの魔力でおさえつけられている。
「彼を一番愛しているのはわたくしですわ!」
「そう思いながら私に抱かれて悦んでたんだ?」
ロレッティアの頭にカッと血が上る。
彼女が腕を伸ばす。レオルークはそれを払い除ける。炎の柱があらぬ方向に走った。
「君の炎なんてたかが知れてるんだよね」
つまらなさそうにレオルークは言う。
「君はいらない」
レオルークが指を向けた直後。
ロレッティアが胸から血を流して倒れた。まるで何かに刺されたように。音も声もなかった。
直後、銃声が轟く。
無駄なことを、と立ち上がった彼は驚いた。