聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 彼の肩から血が流れていた。痛みは一瞬遅れてやって来た。
「お前が?」

 レオルークは銃を構えた蓮月を見た。倒れた姿勢のまま銃を油断なくこちらに向けている。

 小さな穴をあけるだけのあの道具が、こんな痛みを?
 激痛で魔法への集中が解けた。

 三千花がどさっと音を立てて倒れる。
 次の瞬間にはに背を叩かれた。

 レオルークが振り返ると、アルウィードが殴りかかってきた。
 さっとよけて、アルウィードに指を向ける。が、アルウィードは倒れない。立つのもやっとの様子なのに。

「なんだ?」
 レオルークはまた指先に意識を集中する。が、何も起こらない。

「何をした!」
 少なからず焦るレオルークを見て、アルウィードは不敵に笑う。油断なく距離をとり、隙を伺う。

 蓮月がレオルークの背にとびかかった。
 しばらくの格闘ののち、蓮月が柔道の技をかけてレオルークを倒した。うつ伏せになったレオルークの腕を後ろ手に拘束し、膝で背を押さえつける。

「すごい」
 三千花は素直に感嘆した。

 アルウィードはホッと息をついて、室内にあった白いドレスを三千花に投げる。
 受け取った三千花はすぐに立ち上がってそれを着た。

「何をした?」
 レオルークが唸るように聞く。

 アルウィードは答えない。迂闊(うかつ)に答えればレオルークに反撃のチャンスを与えるかもしれない。

「大人しくしろ!」
 もがくレオルークの背を、蓮月は膝でおさえつける。

 突如、レオルークの背が燃え上がった。
「うわっ!」
 反射的に蓮月は飛び退く。

 その炎は魔法陣を燃やすとすぐに消えた。

 アルウィードはロレッティアを見た。
 ロレッティアがこちらを見て手を伸ばしていた。

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