聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
晴湖から散歩の誘いが来ていると聞いて、三千花はとびついた。
待ち合わせた場所に現れた晴湖は、会った瞬間に三千花にハグをした。
なんか前にもこんなことあったな、と三千花は思った。
「無事で良かった!」
「すみません、ご心配をおかけして」
「事故に遭ったと聞いたわ。ケガはない?」
「大丈夫です」
多少のケガはあったが、もう治癒魔法師に治してもらったあとだ。
二人は何度も訪れた四阿に向かった。
「体調は大丈夫ですか?」
歩きながら、三千花は聞いた。
「大丈夫よ。アレだっただけだから」
晴湖は微笑して答えた。
「聞くところによると、あちらから刑事さんが来てたんだって?」
「そうなんです。たくさん助けてもらいました」
蓮月は一足先にあちらへ帰っている。きちんとお礼を言えなかったのが心残りだ。
「晴湖さんも、明日には帰るんですよね」
「そうね。私は聖母じゃないから」
三千花は以前、晴湖こそ聖母なのでは、と思ったときがあった。その優しさ、心の強さに。
「三千花ちゃんは聖母認定されたのよね。おめでとう」
「私も本当は違うんですけど……」
護衛が少し離れた位置にいるのを確認して、晴湖に告白した。シェリナに誘われて博物館へ行こうとしたこと、誘拐されたこと、あちらへ送られたこと。戻ったときにアルウィードを助けるための方便として聖母を名乗ったら認定されてしまったこと。
「あらら。愛ね」
「ち、違います、そんなんじゃ……」
三千花は最後までは言えなかった。