聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 三千花は晴湖がユレンディールと何かを話していることに気がついた。
 そのすぐそばには黒猫がいる。

 リーンウィックさんが来たのかな、と三千花はそれを見ていた。
 黒猫は晴湖と見つめ合ったあと、立ち去っていった。

 何を話したんだろう、と三千花は思う。
 晴湖ならきっと私みたいに言葉に詰まることはないだろう、と三千花は思う。

 アルウィードに会ったら話したいことがたくさんあった気がする。

 なんで記憶を消す必要があったのか。
 なんでもっと早く迎えに来てくれなかったのか。
 なんで記憶を戻してくれなかったのか。

 だが、いざ会うと何を話していいのかわからない。
 アルウィードも何も言ってくれない。

 会いたいと思っていたのに。
 どうして彼の顔をまともに見ることもできないのだろう。

 はじめに話しかけられた以降、アルウィードとは言葉もなく、ただ隣に立って、送還魔法の準備が終わるまで立っていた。

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