聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「魔法とか言われても信じられないし」
「これでも?」
 アルウィードが手を伸ばす。すると、その手のひらに炎が揺らめいた。
 三千花が手を近づけると、ちゃんと熱さを感じた。

「これくらいなら手品でなんとかできそうな――」
「なかなか頑固だな」
 アルウィードは手を振って炎を消した。

「今朝ここにいたのは俺の弟のリーンウィックだ。動物に変身する魔法が使える」

 言われて、あ、と思う。
 猫と一緒に寝たはずなのに。
 起きたら少年だった。

 しかもお互い半裸。
 結局、服は自分で脱いだのかどうかもわからない。

「あいつはイタズラ好きで困っている。王族としての立場をもう少し自覚してもらいたいものだ」
「だったら私はイタズラの被害者じゃん」

「だから動物が来ても入れるなと言ったんだが」
「そんなの、あんな言い方でわかるわけないじゃない!」

「俺の言うことを信じていれば良かったことだ」
「誘拐犯の言うことなんて信じられるかああ!」
「ほお?」
 アルウィードが三千花の腰を抱いた。避ける暇はなかった。

「そんなことを言えないようにしてやろうか」
「え、遠慮します」

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