聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 懸命に腕で彼を押し返そうとするが、力の差が如実(にょじつ)に出て離れることができない。
 イケメンの顔が近くて、三千花は不覚にもまたときめいてしまう。

 静まれ、静まってくれえ。
 そう願うが、激しい動悸(どうき)は止まらない。顔が熱くなる。

 アルウィードの指が彼女の首筋をすっと撫でる。
 三千花はビクッと震えた。

「期待してる?」
 耳元で囁く甘い声。

「ち、違う」
「照れなくていい。」
 うつむく三千花の額に、彼はそっとキスをする。
 顎に手をあて、三千花を上向かせる。
「ちが――」
 否定は彼の唇で塞がれた。

 そのときだった。
 ドアがノックされた。

「無粋な」
 アルウィードは不快そうにつぶやく。

「何の用だ」
「アルウィード殿下に、急ぎの用件でございます」
 扉は開くことなく返答があった。
「仕方ない、今日は――今はここまでだ」

 今は!? わざわざ言い直したし!
 王子が退室し、入れ替わるように、赤茶の髪の女性が入ってきた。


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