聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 結局、「名前」プラス「様」でお互いに妥協した。お店のお客様になったと思えばまだ我慢できる、と思うことにした。

「あなた様は第二王子殿下のご婚約者に内々定されておられます。お立場をご理解くださいませ」
「婚約者!」
 三千花は口をあんぐりと開けた。

「昨夜は大変でございました。殿下がいきなり聖母を連れてきただの結婚だのとおっしゃいまして、聖母である確認をとるために夜中に大神官長まで叩き起こして神にお伺いを立てました」

「じゃあ私が聖母じゃないのはもうわかってますね!」
 これで帰れる、と思ったら。

「まだ確認は取れていません」
 そう答えられ、がっかりした。

「珍しい方ですね。普通は聖母に選ばれると大喜びなのですが」
「いきなりこんなとこ連れてこられて喜べるわけない」

「こんなところとは失礼な!」
 エミュリーが怒る。

「控えよ侍女。この方は聖母様なれば、身分は貴様(きさま)の上であられる」
 言われたエミュリーは悔しそうに唇を噛む。
 なんかよくわからないが、エミュリーには嫌われているらしい。

< 39 / 317 >

この作品をシェア

pagetop