聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「え、ちょ、何」
「私はあなたにはふさわしくありませんか?」
「会ったばかりなんで知りません、離してください」
「残念です」
 意外にも彼はあっさり離してくれた。ホッとした。

 ここの王族は女を口説かないと気がすまないのか、それともそれが礼儀だと思っているのか。異世界だから常識が違うのか。
 このセクハラ変態野郎、と思う。とともに思い出す。

 自称王子はむっつりスケベ。
 弟はイタズラ系スケベ。
 この人はセクハラスケベ。
 いや、セクハラは全員か。
 どういう王族だ、と恐ろしくなる。

「しかし、私を知っていただけたら可能性もあるということですね」
 優しげに微笑む。光り輝くような笑顔だ。眩しくて、三千花は目を細める。

「……ないと思いますけど」
「それほどアルウィード殿下と仲がよろしくていらっしゃる?」
「そうじゃなくて、聖母っていうのが間違いだと思うので」
 そこまで言って、気がつく。

「帰る方法知りませんか?」
「それは……私には無理です」
 知りません、ではなく無理です、というところが引っかかった。

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