聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「どうして?」
「特別な神官が数人がかりで行う術です。アルウィードは魔力が強いので単独でできるようですが。あ、私とて、魔力は強いほうなのですよ?」
 嘘を言っているようには見えなかった。さりげなく最後にアピールしてくるのが気に触ったが。

「あっ」
 ドレスの裾を踏んづけてしまった。倒れかける三千花を、ユレンディールが抱きしめるように支える。

「す、すみません、ドレスに慣れなくて」
「いいえ。この腕はいつでもあなたのためにあけておきましょう」

 なんでさらっとそんなこと言えるんだ、と彼の顔を見て、三千花は慌てて目をそらした。
 美しすぎて正視できなかった。

「ユレンディール様」
 ふいに声がかけられる。

 そちらを見ると、そこには朝、三千花のベッドにいた少年がいた。

 とっさにユレンディールの陰に隠れる。
「聖母様、どうされました?」
「私はいないことにして」
 小声で囁く。

「お邪魔でしたでしょうか」
 少年がたずねる。
「そうだね、今、聖母様を口説いていたところなんだ」

 なんでバラすのか。

「それは申し訳ありません。ですが、せっかくお会いできたのですからご挨拶(あいさつ)を」
 なんか朝と違う、と三千花は彼の様子を窺う。

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