聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「いや、あの、通りすがりに……」
「抜け出したりするからだ」
 とんでもない角度で曲がってくる発言の変化球具合に、三千花はついていけない。

「何それ。なんで私が悪くなるのよ! 俺が守るとか言って守れてないのはあなたじゃない!」
 言い返され、アルウィードはぐっと言葉につまる。

 よし、勝った!
 ふふん、と思ったところへ、リグロットが割って入る。

「申し訳ございません。私の警護に不備があったせいでございます。聖母様のご不快におかれましては、辞職を持って償いたいと思います」
「は!?」

「リグロット、お前はそこまで思って勤めてくれていたのか」
 急に芝居がかったようにアルウィードが自身の額に手を当て、嘆いて見せる。

「ああ、聖母が抜け出したりしたせいで、一人の有望な青年の未来が閉ざされるのか」
 ちらり、と三千花を見る。

「うう、志半ばでお別れすること、残念に思います」
 リグロットが大げさに膝をつく。
 三文芝居だとわかっているのに、プレッシャーが半端ない。
 だが、こちらとて負けるわけには行かない。

「そうだ、私をあちらに返せば解決よ」
 三千花は名案だとばかりに叫ぶ。

「それはない」
「それはないですね」
 二人は即答だった。


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