聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 広かった。小さなホールくらいはありそうだ。
 入口から玉座まで赤いカーペットが敷かれている。

 三千花の後ろで扉が閉まり、思わず振り返る。リグロットとエミュリーはついてこなかった。急に心細さが襲ってくる。

「大丈夫、俺がいるから」
 察したアルウィードが三千花の肩を抱く。
「やめて、誤解される」
 拒否はしたものの、腕を振り払うことはできなかった。

 心臓が鼓動を早くする。
 赤いカーペットを進み、空の玉座の前で立つ。

 そこにはすでに数人が待機していた。ユレンディール、リーンウィック、エルンレッド。加えて、中年男性と中年女性、若い美しい女性がいた。

 ベージュの壁には同色のツタの模様が入っている。
 その前に天蓋付きの玉座が設えられていた。暗い赤のカーテンが両側に弧を描くようにサイドで止められていた。
 玉座は二段ほど上がったところにあり、そこも赤いカーペットが敷き詰められている。
 椅子は二つ、大きなものとややこぶりなもの。どちらも金で縁取られ、宝石がはめ込まれている。座面には赤いビロードが張られていた。

「国王陛下と王妃殿下のおなりでございます」
 声がかかり、全員がそちらを見た。

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