聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「皆様、お楽になさって。ここには家族と家族になる予定の人しかいないのですから」
 王妃殿下が国王より先に発言した。

「また第一王子はサボりですか?」
 続く王妃の言葉に、若い美しい女性が応じる。

「申し訳ございません、大事な用があるとおっしゃられまして」 
「仕方のない子ね。王太子としての自覚をもう少し持ってもらわないと。ごめんなさいね、あの子少しかわってるのよ」
 後半は三千花を見て言った。どう答えていいか分からず、曖昧(あいまい)に微笑んだ。

「まあいいわ。今日は聖母に会わせてもらえるのよね?」
「こちらです」
 アルウィードが三千花を押し出す。
「ちょっとやめてよ」
 三千花は小声で抗議した。

「ほう。そちが聖母であらせられるか」
 国王が言う。
「たぶん間違いですけど」
 つるっと口から出ていた。失礼だ、と怒られないかとヒヤヒヤしたが、誰からもツッコミがない。

「聖母の(しるし)は」
「特にありません。過去にも徴のない聖母は現れています」
 国王にアルウィードが答えた。

 しるしって何! 
 印とも徴ともわからない未知のワードに、三千花はアルウィードを見る。彼はにっこり笑って見返す。
 思わず見とれそうになり、違う! と自分を戒める。


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